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火災保険料の値上げの影響

コラム

新しい年がスタートして早くもひと月が過ぎました。
厳しい寒さが続いていますが、
夕方の陽が伸びていることが実感できます。
風邪など引かないよう体調管理に気を付けて
お過こし下さい。

昨年10月、 火災保険料率、制度改定が実施されました。
2021年1 月に引き続き、全国的に大幅な保険料の値上げとなりましたが、今回はそれだけではありません。
制度そのものが大きく変わり、 これによる影誓は管理の現場にも無関係ではありません。
どのように変わり、どんな影響があるのか、家主と地主(2022年10月号)、全国賃貸住宅新聞(2022年11月21日)の記事から抜粋してこ紹介します。

《制度改定の概妻》

● 保険料値上げの背景
2017~18年度に起きた台風や西日本豪雨などの大規模火災の影響により、2021年1 月に保険料が引き上げられましたが、その後2019年秋の台風15号・19号の被害が大きかったことから、再び今回の値上げになりました。
● 契約期間が最長5年に短縮
これまでの呈長契約期問10年が5年に短縮されました。
これに伴い、保険料の一括払いによる長期割引のメリットが無くなります。

●免責金額の引き上げ
従来より免責金額が引き上げられた保険プランが出てきました。
保険の仕組みとして、免責金額を超える損害を受けたときに、免貢金額を超えた金額分の保険金が下ります。
災害によって細かい修繕が必要なとき、免責によって保障が下りない可能性があります。

●保険金の支払い要件の変更
これまでは、保険金の使い方については不問とされてきました。
しかし今後は、保険加入者が自己負担で修繕した後、それを証明する修繕前後の写真、工事代金の領収書が必要になります。

近年、台風などの自然災害の発生後に火災保険の不正請求が横行している問題があり 、建物の修繕が完了してから保険金が支払われる仕組みに変更されます。

●費用保険金の見直し
建物や家財の損害に対して支払われる「損害保険金」とは別に、一時金・見舞金や片付けにかかる費用の補償として「費用保険金」が支払われる損害保険プランがありましたが、これを見直す保険会社もあります。

《制度改定の影響》

管理現場の視点で見た今回の制度改定の最大の変更点は 『保険金の後払い」ではないでしょうか。
例えば、災害などにより貸貸建物が被害を受けた場合、従来であれば管理会社が手配した修繕の見積書や写真をオーナー様側の保険代理店を通じて保険会社に提出し、損害保険鑑定人との間で金額の協定が出来れば、工事着工前であってもオーナー様は先行して保険金を受け取ることが出来ました。
ところが制度改定後の火災保険約款では、
「復旧義務」を原則としているため、工事の完了が確認できる資料(領収書や復旧箇所の写頁など)の提出が必須となります。
つまり、保険金は工事完了後に後払いされる のです。
また同時に、1事故あたりの最低免責金額の引き上げ、事故発生に伴って必要となる諸費用を賄うための 「費用保険金」の一部廃止や給付率の縮小など、オーナー様にとって不都合なことが多い改定なのです。
それではこの制度改定によって、管理現場ではどんなことに注意しなければならないのか、起こり得る問題と対策を整理してみました。

起こり得る問題

① 復旧工事が完了しないと保険金の支払いを受けられないため、オーナー様への保険金の入金までの時問が長くなり、先に工事費全額を負担しなければならない場合があり ます。
② 工事費の見積書と損傷部分の写頁の提出で保険金支払額は確定できるものの、工事の過程で過程が想定よりも大きいことが判明したなど、実際の工事費と大きく乖離するような場合には損害額の再調査などに時間がかかり保険金の支払いがさらに遅れる可能性があります。
③ 費用保険金の削減などにより、実損害に上乗せされる保険金が従来よりも減少するため オーナー様が受け取れる保険金は事実上少なくなります。
また免責金額も引き上げられたため全額受け取れないこともあります。
④見積金顕に火災保険では補償されない災害被害とは無関係な経年劣化 ・ 老朽化した部分の修繕費が含まれている場合、オーナ一様に請求する工事費と保険金との差額が大きくなる可能性があります。

対応策

①と②は、いずれもオーナー様への入金が後になるので、資金繰りや請求時期について、取り決める必要があります。
③と④は、工事費用に対して保険金だけでは 資金が不足する場合があることを、手前に相互認識する必要があります。
特に、災害被害なのか、経年劣化 ・ 老朽化によるものなのかが判然としない外壁 ・屋根などの損傷は 保険会社が諸求額の一部を否認する可能性があります。
事前に損傷原因が何かを確認し、出釆るだけ損傷原因が混在しないような見積書を作成することが重要です。

この改定は2022年10 月以降に契約が始まった火災保険から適用されるため、これから満期を迎える旧制度下での火災保険と 、しばらくの間は混在していることになります。
但し、約款に記載されていない部分の運用については、旧契約であっても保険制度改定にあわせた運用への変更が見られますので、保険事故が発生した都度、注意が必要となります。

火災保険についての個別のご相談は担当者までお声掛け下さい。